2002/07/17



二人の約束



ルルノイエが落城し

都市同盟も慌しく お祭りムードが漂っていた

そんなある日の出来事だった



「わ〜〜〜〜〜、リオンさんどいてーーーー!!」



どっし〜〜〜ん!!



「あいたたた…わわっ!リオンさん大丈夫?」

「大丈夫だと聞くんならちょっとどいてくれないかな?ビッキー」



そう、空から降ってくる少女と言えば、
世界広しといえどもやはりビッキーしかいないだろう



「あう〜、ごめんなさい〜」



そう言ってそそくさとビッキーはお尻をあげる

少々間延びした声が心地よく感じる



「それで?今回はどこへ行ってきたんだい?」



パタパタを服の土を払いながら何気なく聞いたこと一言が、

僕の知らないビッキーを呼び覚ました





「ど…こへ?えっ?あれ?あれ?どこ…あれ?私一体?」
「ビッキー?」


「ああぁぁ〜!!わからない…わからないよぉ〜
忘れちゃう…皆のことを…忘れちゃう…」



そう言ってビッキーの体は小刻みに震えだした



「ビッキー!?」

「あぁ…ここは?ここはいつ…どこなの!!」
「ビッキー!!!!!!」



僕はそう言うと、震えるビッキーの体を優しく包み込んだ



「聞いてくれビッキー、君がいつの時代の、どこに行こうとも
僕だけは変わらない
…君に誓う、だから…僕を信じるんだ
僕はいつでも君を探しつづけ、そして、出会えて見せるから…」



自分でも何故こんなことを言ったのかはわからない
だけど、何かを言わなくちゃいけない気がした…



気がつくと、ビッキーの震えは収まっていた



「リオンさん、私ね、リオンさんの事、忘れたくない…
ううん、ぜったい忘れない!
だから…リオンさんも…私のこと忘れないで…」

「ああ、もちろん!!ただし、今のビッキーでいてくれよ(笑)」

「うん!!」



ビッキーは涙を拭き、目一杯の笑顔でうなづいて見せた












 それから数日後

ビッキーはどこかへ行ってしまった



「行っちゃったか…皮肉なものだねテッド、今はこの紋章が必要でたまらないんだ
あれだけ憎んでた紋章なのにね…」



僕は一度大きく息をはいた



「さて、僕のお姫様を探しに行かないとな!」



覚えていてくれ僕はぜったいに君を一人にさせない

たとえ、どんな運命が襲いかかろうとも、君がいる限りは、僕は僕でありつづける


変わらない僕でありつづける…だから…君も僕を一人にしないでくれよ…





その日の風は、特別に心地よくふいていた


















                                                 END


■石猫のヒトコト■

ユウさん曰く、
「時間を跳びすぎて記憶も跳びかけたビッキー」
時の流れを行ったり来たりするうちに、記憶までサクっと……。
あんまり多くの出来事が情報として流れ込んできて。
自己防衛のため無意識?に必要以上の記憶を脳内ハードディスクから自動削除してたら怖いですよね。

初めて忘れたくない思い出を手に入れて。
なのにそれすら忘却の彼方に流されそうで。
ぜひとも探してあげてね〜頼んだよ、坊ちゃん!



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