2001/10/04
■ オモイデのカワラ ■
「む〜…。」 ビッキーはいつも通りテレポートの依頼を待っていた。 盟主が出かけてしまったので全くもって暇である。 どこか遠くに行くらしく用意もそれなりのもの。 2,3日はいないだろう。 「暇ぁ〜…」 どこかに散歩でも、と考えていた時… 突然珍客がやってきた。 「ちょっとバナーの村まで送ってくれないかしら?」 ラウラだった。 「バナーですか??」 「ええ、ちょっと札の頼まれごとがあったのよ。あの…タケル君に。」 タケルさん―…3年前共に戦った同盟軍のリーダー。 この間ひょっこり現れてその姿をみた者も居るらしい。 すぐに帰ってしまったようで会えなかったが 挨拶をしたかったのに… ふとビッキーの頭によぎった。 …そうだ!この機会に!! 「じゃあ私が届けます〜!」 「あら?そう??じゃあ頼んじゃっていいかしら?」 道が分からなくて困ってたのよね〜と笑って札を渡す。 そんなこんなでタケルに会いに行くことになったビッキー 深呼吸をしてテレポートの呪文を唱える。 「えいっ!!!」 「・………………あっ?!」 この感覚は。 失敗、した。 「あたたた…」 見たことのない河原。 あきらかにバナーではない。 しかも少し時を飛んでしまったようで辺りは薄暗くなっていた。 「失敗…しちゃった。」 ぽつり、と呟く。 不安と札を届けられない情けなさ、ふがいなさが 手伝って涙がほろほろと流れ落ちる。 こんな時、誰かに手を差し出してもらいたいのに…。 「ふぇ……タケルさん…」 会いたいのに、あえない。 「ビッキー?」 声は意外なところから降ってきた。 「タケル…さん…?」 事情を聞いたタケルは優しく微笑むと ビッキーの髪を撫でた。 「変わってない…」 3年前から。その顔も、髪の長さも。性格も。 全て僕の知る君。 「え?」 ぽつりと発したタケルの言葉に首をかしげる。 「ははは…何でもないよ。 そっか、ありがとうビッキー。うん。もう大丈夫だよ。 ここはグレッグミンスターの近くだから。」 「うん、ごめんなさい。気をつけます…。」 そういって帰ろうとするビッキー。 ―――――――帰したくない。 「せっかくだから、話でもしようか」 「ええ??わあ!はいvvお話しましょうvv」 引き止めるのは気が引けたが まともに目を合わせて話の出来る人は 彼女だけだと感じた。 河原に座ってぽつりぽつりと話し始める。 あの時は大変だったとか危機一髪だったとか。 全て3年前の話題。 彼女にとっては空白だったことも。 僕にとって空白に近かったことも。 分かった。 同じ時を重ねたと同じだ。 彼女とは、同じ時を生きれる気がした―。 「小さい頃ね、父さんと喧嘩した時に この河原でずっと夜まで泣いてた。」 「タケルさんでも、泣いてたんですかぁ…」 ははは…と笑って、意外かい?と問うた。 「そんな時はね、グレミオが傍にずっと座ってた。 …そうだね…今の僕らみたいに。」 そう横に並んで、ずっとお互いの顔を見ていた。 グレミオは何も言わずにっこり笑ってずっと座っていた。 母親がいない自分にとって母のようだった。 いなくなった瞬間心の中にはぽっかりと穴が 開いたみたいで。 それからの活動もふわふわとうわの空だった。 それから何があっただろう。 父が、親友が、軍師が…。 僕の目の前あるいは知らない間にでも欠けてゆく存在達。 止められぬ死神の欲求。 そして僕は選んだ。 誰も傷つけない選択を、皆から離れてゆくことを引き換えに。 「ビッキー、ほら見てごらん。」 そう言って自分の手の中から 札で作った光の玉を取り出す。 ラウラに作ってもらった特注品。 綺麗な光の玉は一人で見るのが好きだったが ビッキーになら、見せてあげてもいい…。 「綺麗…ふわふわだあ…」 ぽつぽつと発生するほのかな光。 ビッキーはしばらく我を忘れて見つめていた。 「ね、タケルさん。」 「何?」 「このふわふわ、タケルさんに似てるね」 「似てる?」 「うん。ふわふわどこかに行っちゃいそうで」 …それは君だ。風船みたいにつかめない。 僕の手からどこかに行ってしまいそうで。 自由で。なんて鮮やか。 「僕はどこにもいかないよ」 行ける場所すら、なくなる。 「本当ですか?」 「うん。」 君こそいなくならないで。 「これ、あったかいね」 タケルさんみたい。 そう付け加えるとビッキーは笑った。 「………」 アッタカイネ…。 「ビッキー」 「はい?」 「僕も…同じこと思ったよ…」 光の玉に求めていた。 優しい暖かさ。 それに気づいた時ふと 涙が、溢れた。 END |
初の坊びきです。未熟な上よくわからない話に!!(泣)
今の能力ではこれが限界でしょうか。
とりあえず坊が光の玉が発生する札(?)に
暖かさを求めていた…ということで成り立つ小説です(><)
今度はもうちょっとビッキーにがんばって欲しいと思う…(笑)
■石猫のタワゴト■ 同じ時を生きる君と僕。 欲しいものは暖かな光。 なんともせつなくも優しげなお話ですv まるで手のひらから砂がこぼれ落ちるように。 大切なモノを次々と無くしていく坊ちゃん。 だから彼にとってビッキーは、ある意味かけがえのないもので。 何十年・何百年・何千年たっても笑いあえる間柄なんてステキ。 |