2001/09/02

君がいる未来








過去は消えてしまった輝き。

現在は知る事の無い輝き。

じゃあ未来は何だろう?



光が満ちているのだろうか?それとも輝きなどなく、闇だけが満ちているのか?





僕には解らない。     だって、ぼくは何時だって「現在」にいるのだから。












シュン!



「?また失敗しちゃった…。ん?あれれ?…リウさん!リウさんだよね?」
「ビッキー!…久しぶりだね。」



最後に会ったのは何年前だったろう?



「うん、久しぶり〜…?ん?って、たしかさっき別れたばかりだよね?」



…これだもの…ねえ?ホント、彼女は…



「相変わらずだね…。」



当然なのだけれども。だってビッキーにとっては、最後に会ったのは‘さっき’なのだから。
こっちは何年も待っていたっていうのに、ね。
だけども、それでこそ僕が恋した彼女なんだろうね。
ビッキーの無邪気さ、純真さ…なによりも変わらないでいられること。僕はそういう所が大好きだった。



「うん?リウさんも。…ねえねえところで今っていつ?結構経ってるのかなあ…。」
「…たしか…3年は経ったんじゃないかな。シェインがあの戦争を終わらせてから、だよね?」



しかし彼女はびっくりした声で、「えええ?ちがうよ???」といった。



「違う?じゃあビッキーはいつからきたんだろうね?」
「わからないけど…。ん〜。たしかね、ポプリちゃんとか、リックさんがいるところ。本拠地がね、空にあるんだけど…。」



空に本拠地、だって…?
そんなことあるはずがない。ポプリ、リックといった名前にも心当たりが無かった。…すくなくても今の時代では。
では彼女は…



「未来からきた…とか?」
「あ。そっか〜!そうかもしれないね〜。…リウさん頭いい!!」



頭がいいって…これぐらいで…。
とはいえ彼女がくれた言葉だ。無下にはできないし…少し嬉しくもあった。なんだかくすぐったいような感じ。



「…どうもありがとう…」
「えへへ…。どういたしまして!…ん???あ、リウさんにいうことあったんだ!!」



僕に?



「ふうん?なんだい。」
「あのねあのね。…」



言うなり突然彼女は僕に…抱き着いてきた!



「ただいま!」

と。


……これは一体どういう事なんだろう?
嬉しいけれど…そりゃあ悪い気はしないけれど…でもいったい??



「…リウさん、‘おかえり’って言ってくれないの?…約束したよね…?」



戸惑っているぼくを、責めるビッキー。



「まって、ビッキー。それはいつの僕が言ったんだい?」



少なくとも今までの僕ではない。彼女との約束事を、僕が忘れるはずがないのだから。



「あれ?そっか。私も同じ事やったばっかなのに忘れてた。」
「同じ事って?」

「あのね。これから先のいつか、リウさんが‘おかえり’って言ってくれるの。でも私、なんのことかわからなくて、‘えええ??どうして’っていっちゃうの。で、約束したんだよ。『今度から会った時には‘ただいま’って言ってね』って。分かってくれる?」



ああ、そういうことだったのか。



「うん。」
「よかった〜。」



じゃあこれから先の未来も、僕と彼女は確かに会えるんだ。
そのことがひどく嬉しい。





過去は消えてしまった輝き。

現在は知る事の無い輝き。

じゃあ未来は何だろう?



僕には解らない。     だって、ぼくは何時だって「現在」にいるのだから。



けれどもその答えを彼女がくれた。
未来から飛んできて、僕に未来をくれた。
これから先に光があると。…希望がまっていると。



「ビッキー」



名前を呼んで…彼女を抱きしめる。
できる限り優しく、そっと。



「え、え、え、リウさん…?」



戸惑った声。愛しく懐かしい少女。「仕切り直しだよ。もう一回ただいまって言ってくれる?」
彼女もそっと手をさしのべ、つぶやく。





「…リウさん…ただいま」




僕は微笑みながら彼女に応えた。





「お帰り」




この上の無い幸せを感じながら。









■石猫のヒトコト■

これぞ時空を超えたカップル!スーテーキーv
永劫の時間も君を待つほんのわずかな通過点に過ぎなくて。
で、なんども出逢うたびに「ただいま」「お帰り」と笑いあう。
ああ、清々しくもココロ洗われる素敵カップル万歳!!!
坊ちゃん幸せそうで石猫も幸せです。←バカ?



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