2003/02/14

  あの日くれたもの






「そうか…もうじきだな、バレンタイン。」

少年−マクドールは一人、クスっと笑った。

「あれからもう、何年前だったかな…」

旅の途中、少年は目蓋を閉じる。

あのときの記憶を感じるために。








――――――――――――
いつの日だったか…


「バレンタイン??」
知らない単語を出され、ビッキーは顔に疑問符を浮かべた。
「そう、バ・レ・ン・タ・イ・ン、女の子が好きな男の子にチョコレートをあげる日なのっ!」
ニナはそう言って、見て!といわんばかりに懐からチョコレートを出して掲げた。

「これが私がフリック様へ愛を込めて作ったチョコよ!一晩抱いて寝たから愛も満タンよ〜。ってなに言わせるのよ恥ずかしいなぁ〜〜。」
ビッキ―が口を挟む隙を与えず(もとよりビッキーに突っ込み能力は皆無だが)ニナは照れてから続けた。

「そうそう、忘れてた、コレあげるね。」
そう言ってニナは一粒の小さなチョコレートビッキーに渡した。

「ほえ??」
わけもわからず受け取るビッキー。

「私だけフリックさんに渡すのもなんか、ね。
こういう行事はみんなでぱーっと盛り上がらないとね!
だからこうやって女の子みんなに配ってるのよ〜。
それじゃあ私はフリックさんにこのチョコ渡さないといけないから行くけど、
ちゃんと男の子に渡しなさいよ?
じゃあまたね〜。」
にっこりとビッキ―にそう言い放ったニナはそのままフリックを捜しに行ってしまった。

「…えっと??」
あとに残されたビッキーはやはりあまり事情が飲みこめてはいなかった。


数分後

「やあ、ビッキー、今日もいい天気だね。」
ビッキーがいつまでも放心しているとにこにことマクドールが声をかけてきた。

「えっ、あ、そうだねっ!…あっそうだ!マクドールさん!!」

「なに?」









―――――――――――――

あの時はなんの事かわからなかったけど、あとで(ひどくやつれた)フリックがその日がなんの日だったか教えてくれた。

もし、もしもあのとき僕が最初にビッキーと会っていなかったらどういう結果になっていたかはわからない。

ビッキーがどういう気持ちでくれたのかも…

けれど

「一番可能性があるのは、僕だよね。」

そして少年は目蓋を開ける。

未来を見るために。

「今度は手作りをもらわないと。」

そう言って少年は歩き出す。

キミを捜して…













                                        END


■石猫のヒトコト■

「一番可能性があるのは僕だよね」
さも自信ありげにのたまう坊が素敵です。
次こそは手作りチョコを貰うべく、ビッキー尋ねて三千里。
常に目標は高く持つのがモットーですか、坊ちゃん?



BACK