2003/02/19

 Snow Project






 執務室では解放軍戦略機密会議が行われていた。と言ってもその場にいるのは解放軍リーダーと軍師の2名のみであったが。

 マッシュは広げた地図の一点をリアンに示しながら、淡々とした口調で論を進める。



「ここで帝国軍を分断します。敵の陣形を崩してから我が軍の一隊が後方に……」



 ふとリアンが顔を上げた。そのまま静かな眼差しで何もない空間を見つめている。
その様子に気づいたマッシュが眉をひそめてたずねた。



「聞いてらっしゃいますか、リアン様?」
「少し後ろに下がった方がいいよ」
     ?なんです一体?」



 戸惑い顔を隠せないながらも言われるままにマッシュが半歩うしろに下がったのと、長い黒髪の美少女が出現したのはほぼ同時。もしリアンの言葉に従って後方回避していなければ、今頃マッシュは頭上から落下してきた彼女に押しつぶされていただろう。



「ねぇねぇリアンさん、これなぁに?」



 黒髪の少女……ビッキーは緑の瞳を輝かせながら古書の見開き一面に描かれた六角形の図形を指さした。

 リアンはページ全体にさっと目を通すとサラリと答えた。



「ああ。これは雪の結晶だよ」
「ゆき?雪ってなぁに?」
「水蒸気が空中で昇華して地上に降ってくる結晶のこと。白く見えるのはこの結晶が可視光をほとんど吸収しない為」
「ほ…ほぇ??しょうか?かし…こう?」



 聞き慣れぬ学術専門用語の羅列にビッキーは目を丸くして反芻する。

 リアンは彼女の頭に軽くポンと右手を乗せると、苦笑まじりに先ほどの説明をより単純に言い換えた。



「ゴメンゴメン、簡単に言えば天から小さな氷が降ってくるんだ」
「氷が?頭に当たったら痛くないの?」
「そんな大きいのは滅多に降ってこないから大丈夫」
「そっか〜なら安心だね!」



 ビッキーは安堵のため息を漏らした。どうやら雪が直径30センチもの巨大雪玉状態で降ってくるものと想像したらしい。

 リアンはビッキーの瞳の奥をのぞき込んでたずねた。



「ビッキーは雪を見たことないの?」
「うん!わたし、はじめて聞いたよ。ここは降るの?」
「うーん?北のハルモニアならともかく、南のこの国には降らないんだ」
「そっか…降らないの……」



 リアンの説明にビッキーは傍目にもわかるほどガックリ肩を落としてつぶやいた。雪が降らないのがよほど残念らしい。

 本を胸に抱えたまましょんぼりうなだれるビッキーをしばし見つめたあと、リアンは横に立つマッシュに視線を投じて口を開いた。



「マッシュ。作戦実行の時間稼ぎが欲しいって言ってたっけ?」
「ええ、3日ほど猶予があればずいぶん助かりますが………リアン様?」



 マッシュは当惑と困惑の入り交じった表情でリアンの端正な顔を見据えた。リアンも凪いだ海のように穏やかな微笑みを浮かべて見つめ返す。

 マッシュは知っていた。リアンがこういう笑顔を浮かべるのは、大抵ロクでもないことを企んでいる時だということを。



「了解了解。大船に乗ったつもりで僕にまかせておきなよ?」



 リアンは自信ありげにニヤリと笑った。それを見たマッシュは沈没5秒前の救命ボートの足りない豪華客船に乗った心地になった。












 地平線の彼方まで見渡す限り一面の銀世界。まるでどこからともなく軽やかな鈴の音が聞こえてきそうな風情だ。


 白い大地には雪を切り出して作られたイグルーがそこかしこに立ち並んでいる。トラン湖には厚い氷が張り、本拠地対岸に見える温泉は白い湯気がもうもうと立ちこめる。なぜか一夜にして赤月帝国全土は雪に覆われていた。


 南国であるがゆえに帝国民は押しなべて雪慣れしていない。豪雪のなかでの軍事行動は敵味方ともに命取りであるため、現在帝国内での軍事行動は全面的に停止を余儀なくされていた。


 かくて漁師は凍った湖でのんびりワカサギ釣りを楽しみ、エルフ青年は止せばいいのに氷の上を爆走して玉突き連鎖事故を起こし、コウアンの豪商夫妻はイグルー内にコタツ一式を持ち込んで新婚気分に浸り、帝国貴族はあまりに寒すぎるポエムを披露した罪でブーイングの雪玉攻撃を喰らうなどして、このふってわいた休暇を各自それなりに楽しんでいる。



 そしてコウアンの豪商のバカ息子は、白銀にきらめく丘の斜面を風を切る速さで滑り降りてきた。初心者の割にスキーの技量はなかなかのものである。



「ヒャッホ〜〜〜!」



 脳天気なかけ声も高らかにシーナは宙に身を翻し、むこうの丘へ飛鳥の如く大跳躍を試みた。初心者の割に無謀さだけは天晴れと言わざるを得ない。

 よっしゃ着地成功、とばかりに胸の中で快哉を叫んだそのとき、シーナは後方より飛来した謎の物体に思いきり跳ねとばされた。



「あ、悪い。シーナ」



 ムササビの形をした奇妙なスノーモビルに乗った加害者は、人ひとり轢いた罪悪感などカケラほども感じられぬ実に爽やかな笑顔で被害者を見下ろした。



「おいコラ!何すんだリアン〜〜〜!!! 」
「でも僕の進行方向でウロチョロしてるシーナの方が悪いよね」



 きりもみしながら墜落していくシーナを後目に、リアンは涼しい顔でのたまった。












 一方、谷底付近ではバレリアとアップルが摩訶不思議な作業を続けていた。アップルが雪かきシャベルで雪玉を指し示す。



「あ、それをこの雪玉の上に載せて下さい」
「ああ。これでいいのか?」



 バレリアはアップルの指示どおり抱えていた雪玉を地面に置いた巨大な雪玉に重ねた。1〜2度左右のバランスを確認したあと、真正面からまじまじと見据える。

これはハルモニアの伝統的風習で呼ぶところの「ゆきだるま」とかいう物体だそうだが、はたしてかの国の者たちはいったい何のためにこんなものこしらえるのだ?


 バレリアの訝しげな視線に軽くうなずくと、アップルはにこやかに答えた。



「それはですね。中に死体を隠すんですよ」
「なんと。それは本当なのか?」



 降ってわいた予想外の事実にバレリアは思わず目を見開いた。アップルはくすくす笑いながらからかうような口調で続ける。



「こうすれば春の雪解けまで死体が見つかる心配がありません。また腐乱も防げて一石二鳥なんです」
「なるほど……確かにそれは名案かもしれないな」


 バレリアはなんとも物騒な話題にもっともらしい顔で相づちを打つ。彼女の顔はどこまでも真剣だった。にわかに怪しくなった話の雲行きにアップルは慌てて口を開いた。



「あ、あのバレリアさん?今のは冗談なんですけど………」



 アップルの訂正の言葉は盛大な落下音にかき消された。反射的にふり向いて唖然とする。なんとシーナが雪だるまの天辺に刺さっているではないか。まるで清水の舞台から飛び降りたかの如き複雑怪奇な体勢で、半壊したゆきだるまにめり込んでいる。


 眼前の常軌を逸した状況にアップルがとっさに反応できずにいるなか、バレリアは無言で雪かきシャベルをひっつかみ、大破したゆきだるまの修復作業を開始した。雪に埋もれたシーナごと一切合切ひっくるめて手際よく雪を固めていく。あれよあれよという間にシーナ入り殺人偽装ゆきだるまは完成した。



「バ…バレリアさん?」
「さぁ。これで春まで安心だ」



 バレリアは服についた雪を払いながらやけに静かな表情でうなずいた。












 雪だるま殺人事件現場から少し離れた原野。そこはなぜか暴風と吹雪の荒れ狂う前人未踏の豪雪地帯と化していた。

 竜騎士見習いの少年は相棒の竜にポツリとつぶやいた。



「……ブラック。ココどこなんだろ?」
「グ…グギャ?」



 ここは冬の八甲田山か、はたまた極寒のフランダース地方か。道に迷った1人の少年と1匹の竜は途方に暮れて互いの顔を見つめた。

 吹雪は刻一刻と激しさを増してくる。












 本拠地対岸には古代の大浴場にも匹敵する大規模な温泉が設けられていた。


 その名も『ムササビ温泉』。

 周囲にはムササビ印の旗がはためき、温泉入り口へと続く小道には巨大ムササビ雪像が林立している。売店に至ってはムササビ饅頭をはじめとするムササビグッズが目白押し。湯治客の99%がここをムササビのテーマパークと勘違いするのは必至。

 いや看板下に小さく書かれた「T M L…トランムササビランド」の飾り金文字を鑑みるにあたって、その見解もあながち間違いではないのかもしれないが。



 ビッキーはムササビランド中央部の噴水(もちろん口から温水を吐くムササビ小便小僧設置済み)の縁に腰掛けて両手を空に伸ばし、手のひらに降っては溶けゆく雪を握りしめて笑った。



「うわぁ〜!白いね!冷たいね!」



 一片の雪に繰り返し歓声を上げるその姿は愛らしいことこの上ない。大はしゃぎするビッキーを楽しげに見つめながら、隣に腰掛けたリアンがたずねる。



「ふーん。楽しい?」
「うん!とってもとっても!!! リアンさんは〜?」
「ビッキーが楽しいなら、僕も楽しいよ」



 リアンは満足げに微笑むと黄色の瞳を細めた。



 噴水脇のムササビを象った温泉の中ではビクトールとフリックの腐れ縁コンビが雪景色を肴に酒をあおり、その横でマッシュとサンチェスの姿が湯につかっている。ビクトールは湯気に霞むトラン湖のほとりになにやら妙な建築物を見つけて首を捻った。



「なぁリアン、ありゃ何なんだ?」
「僕が作った気象制御装置だけど。それが何?」



 ひょいっと顔だけそちらに向けてリアンは気さくに答えた。ビクトールはリアン曰く「気象制御装置」とやらをしげしげと見やる。タテヨコナナメ360度全方位からどれほど目を凝らしても、ただの小型サイロにしか見えない。

 その疑問に答えるようにリアンは口を開いた。



「簡単なことさ。まず帝国全土の気温を零下5度まで下げるだろ。次に湖から取りこんだ水蒸気を大気に放出する。全天候対応設定型だから降雪だけでなく、晴れでも雨でも台風でも自由自在」
「あのなお前。こんなコトできるならもっと有意義に使えよ………」



 フリックのもっともな指摘に動ずることなく、リアンはいけしゃあしゃあとのたまった。



「ビッキーも楽しいし僕も楽しい。これ以上有意義な使用法なんてある?」
「………そうか。すまん、バカなこと聞いたな」



 フリックは目前の「なんでも出来るけどなんにもしてくれない」天才の天災に力無くつぶやいた。

 そう。目の前にいるのは宇宙人&カミサマ的超越思考の持ち主なのだ。その傍若無人な思考回路に、不幸なる一般人は大いなる無力感と脱力を覚えずにはいられない。


 しかし周囲に漂う気まずい沈黙をものともせず、サンチェスは目を氷上に向けながらいつものつかみ所のない口調で頷いた。



「あれはレオン殿ですね。これはこれはなかなかの腕前だ」



 解放軍書記の声に一同揃って視線をたどる。なんと策を謀るに手段を選ばぬ冷酷非情軍師レオン・シルバーバーグが、凍結したトラン湖中央付近の氷を黙々とモップで磨いているではないか。氷上の「働くおじさん」を呆然と見つめたままビクトールがあきれ顔で言った。



「おいサンチェス……掃除の腕前なんか褒めてどうすんだよ?」
「は?いえ、あれはれっきとした知性溢れる氷上競技ですよ」



 淡々と答えるサンチェスの言葉にリアンの声が重なる。



「へぇ。レオンの趣味がカーリングだったとは初耳だね」
「ええ。叔父上はその昔、名を馳せた名選手でした………」



 マッシュは軽く息をついた。そしてどこか遠い眼差しで湖を見渡すと再び語り始める。



「ですが私の父が急死したあとむりやりカーリング留学先のハルモニアから呼び戻され、やむなく栄光のデッキブラシを捨てることに……彼の性格が歪んだのもこれが主たる原因かと思われます」
「デッキブラシの悲劇か。気の毒なことだね」



 いっけん相手に同情するかの如きセリフとは裏腹に、リアンはなんとも楽しげに瞳を細めて相づちを打つ。そしてゆっくり顔を上げ、ビクトールとフリックに向かってニヤリと不敵に笑った。どうやらリアンは氷上のチェスに参加する気満々のようだ。それも手下の熊とブルーサンダーを引き連れて。


 このままではマズイ。心の底から恐怖を感じた腐れ縁コンビは湯からいそいそと立ち上がった。



「あ〜オレたちはそろそろ上がらせてもらうぜ」
「そ、そうだな!ハハハ…ハハ………」


 ここは三十六計ことごとく後ろに投げ捨てて逃げるにかぎる、とばかりに慌てて着替えを探すビクトールの手が止まる。手を伸ばした先に荷物置きのカゴは無かった。呆然と立ちつくす背中にのんびりとしたサンチェスの声がこだまする。



「あ、さっきセイラさんが洗濯するって持って行きましたよ」
「ば…バカ野郎〜ありゃ着替えだ!!!」



 ビクトールは動転のあまり思わず立ち上がりそうになるも、ギリギリの線で踏みとどまった。サルや熊でなく一応人間であるからには、いくらなんでも生まれたままの姿でそこらを歩き回るわけにはいかない。かといってこのままずっと湯につかっているのも難がある。ふやけてクラゲになってしまう。

 げんなりとした表情で頭を抱えるビクトールとフリックを横目に、マッシュとサンチェスが立ち上がった。



「では私はこの辺で」
「そうですね。そろそろ上がりますか」



 その声に反射的に顔を向けたビクトールは一瞬声を失う。


 彼らはしっかり海水パンツを着用していた。



「お、お前らズルイぞ!!!」
「予期せぬ事柄への対策を練っておくのは常識です」
「それではお先に失礼します。フリックさん、ビクトールさん」



 あがるにあがれぬ気持ちウラハラな二人を置き去りにして、軍師と書記はふり返りもせずにこやかに温泉を後にした。

 これだけは避けたかったが万策尽きた今となってはやむを得ない。フリックは奇妙な小型端末を片手になにやら話し中のリアンに叫んだ。



「おいリアン!頼むから着替え持ってきてくれ!」



 しかしリアンはフリックの切なる願いなどそっちのけで話し込んでいる。



「……ん、了解。じゃ、あと2〜3日は降らせとくね」



 そう言って電源を切り、端末を懐に放り込む。リアンは噴水脇に止めてあるスノーモビルの後部座席にビッキーを乗せると、すかさず自分も飛び乗った。



「おいコラ、どこ行きやがる!!??」
「ちょっと急用できたからまた後でね」
「待て〜〜〜その前にバスタオルでいいから取ってきてくれ!!!」



 だがしかし。哀れな子羊たちの痛ましくも滑稽な叫びなど全く気に留める様子もなく、リアンとビッキーを乗せたムササビ型スノーモビルは猛スピードで雪の彼方に消えていった。












 本拠地一帯を遙かに見渡す高台にイグルーがぽつんとひとつ建っていた。屋根にはソーラーシステム及びパラポラアンテナが設置され、内部には近未来的ハイテク機器がところ狭しと並んでいる。

 メグは大型コンピューターの画像表示パネルに目を落としたまま、不機嫌顔の同僚に元気よく報告した。



「ねぇルック!203区画で遭難者発見〜!」
「……遭難?」



 ルックは眉をひそめて席を立ち、液晶パネルをのぞき込んだ。吹雪のただ中にフッチとブラックが身を寄せ合ってうずくまっている。雪に半ば埋もれたその寝顔は、まるで天国の情景でも思い描いているかのように安らかだ。



「なんかフランダースの犬のラストシーンみたいねぇ」
「………降雪システム出力レベルダウン」



 メグのその場の状況に対する言い得て妙な感想に脱力感を覚えつつ、ルックは制御卓に手を伸ばした。続いてメグはパネル一面に巨大雪だるまを拡大表示する。



「そうそう。この雪だるまの中にも熱反応が見られるわよ〜」
「………あのバカの上に融雪剤投下」



 続いて湯けむり漂う温泉が映し出された。湯の中には盆過ぎのクラゲのような妙なものがぷかぷか浮かんでいる。



「ムササビ温泉にはドザエモン状態の2名発見」
「………もう…そんなのどうでもいいよ」



 湯あたりで失神した世にも見苦しい物体を実にイヤそうに見やったあと、ルックはコンソールに突っ伏したまま投げやりな口調でつぶやいた。


 雪山監視員ルックの苦悩は今日の最大積雪量よりも深い。












「ちょっと!この天気はなんなのさ!?」



 窓の外に積もる雪をにらみながら宮廷魔術師ウィンディは忌々しげに叫んだ。

 この雪のせいでもう三日も帝都は封鎖されたも同然の状態なのだ。グレッグミンスターは基本的に大雪対策など全くなされていないため、道は雪で埋まり、薄い窓からは外の冷気が容赦なく室内に入り込み、果ては軍の出動はおろか門の開閉すら支障をきたす始末。



「なんとかならないのかい、バルバロッサ!?」
「焦っても仕方あるまい。少し落ち着いたらどうだ?」
「なにノンキなこと言ってるのさ、どうせあの小僧の仕業なんだろ!?」



 ウィンディは叩きつけるように扉を閉めると猛烈な勢いで走り去った。帝都宮殿内廊下を走っても咎められないのはこの宮廷魔術師と皇帝の甥だけという噂は正しいようだ。

 皇帝はしばらく耳を澄まして足音が完全に消えるのを確認する。



     行ったか」



 世にも真剣な表情で頷くと、そばに控えるテオ・マクドール大将軍に声をかけた。



「テオ、例のモノは用意したであろうな?」
「はい。仰せの通り揃えております」



 数分後、皇帝とテオ将軍は手に雪かきシャベルを持って空中庭園に佇んでいた。バルバロッサ・ルーグナーは見渡す限りの雪原に陶然とつぶやく。



「いつかカマクラを作る    それがわしの幼少時よりの夢だった……しかしここは南国ゆえ所詮叶わぬ夢と諦めていたのだが、ついに実現するとは感無量だ」
「陛下!微力ではありますが私もお手伝いさせて頂きます!!!」
「……うむ。リアンには当分この天候を維持するよう伝えておいたか?」
「はい、それは先ほど連絡いたしました」
「よし。では作業にかかるぞ」



 嬉々としながらねこ車で雪を運ぶ皇帝とテオ将軍。テオの直属の部下アレンはいつもながらの熱血ぶりで、固めた雪をブロック状に切り出す作業に没頭している。


 雪のブロックがらせん状にどんどん積み上げられていく様を眺めながら、グレンシールは心の片隅でこっそり指摘した。



『陛下、テオ将軍。ついでにアレンも……それはカマクラではなくイグルーです』





 赤月帝国の雪祭りはまだ当分続きそうだ。












                                                 END


 ただいま帝国雪祭り実施中。近隣一帯ムササビランド化はもちろんビッキーのリクエストによるもの。そして雪祭り延長は父上を通した伯父上のリクエスト。
Snow Project=ビッキーも楽しいし自分も楽しい、ついでに家族サービスもテキトーにこなすリアンの一石三鳥計画。

 さて。レオン・シルバーバーグのカーリングの腕前や如何に?



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