2002/02/14
■ Bitter or Sweet? ■
〜欲しいものを手に容れるために〜
今日はバレンタイン。 「リウさん!受け取って下さい」 「あの・・・これ・・・私から・・・」 「リウさま・・・」 それらすべての少女達に リウは 「有難う」 と、甘い微笑みでもって応えていた。(・・・むろん、義理・本命・老若は問わず。) 『きゃーvvv』 嬉しそうに走り去って行く少女達。 「元気だね・・・」 こきこきと首を鳴らしつつ、思う。 今日一日中、営業スマイルを浮かべていたものだから さすがに・・・少し疲れた。 それを表にあらわすようなヘマはしないけれど。 「お疲れ様です、坊ちゃん」 「ああ」 クレオ、パーン、そしてグレミオがやってきた。 「・・・毎年のことだからね。慣れたよ」 今年ほどすさまじくはなかったが。 「坊ちゃん・・・コレ、少し俺が貰っても・・・いてっ!」 見るとクレオがパーンの手をつねっていた。 あーあ。毎度毎度よくもまあ懲りないもんだね? 「まったく!食い意地のはった男だねえ」 「く、クレオ・・・だってよ・・・」 「ホラ、私からやるよ。これでマリーさんから貰ったのをあわせれば2つになっただろう?」 「ああ。ありがてえ」 ・・・パーン・・・。そんなんだからもてないんだよ。 「坊ちゃんとグレミオも・・・どうぞ」 そう言ってクレオは僕たちにもチョコをくれた。 「ありがとう」 「ありがとうございます、クレオさん」 にっこり笑っているグレミオも・・・(さりげなく)たくさんのチョコレートを抱えていた。 おそらく穏やかなひととなりが、ご婦人達にうけたのだろう。 「くそぉ・・・うらやましいぜ」 「まだそんな事言ってるのかい?」 さすがのクレオも呆れた顔になる。 「いいじゃないか、パーン?・・・だって・・・お目当てのクレオからもらえたんだし?」 「ななな・・・ぼ、坊ちゃん???!!」 あーあ・・・赤くなっちゃって。 クレオがパーンに渡したチョコレートは。 僕とグレミオが貰ったものより一回り大きく・・・ より凝った包装がなされていた。 それの意味する所は? ふっ、と微笑をもらしつつ僕はその場を後にした。 +++ まったく羨ましい事だよね? だって僕は 本命から ・・・ビッキーから貰えなかったというのに。・・・ 机を見やれば、確かにまあ我ながら驚く量のチョコがある。 一つ一つに想いが篭っていて だからそれらを粗末にすることなどできないけれど ―それでもやっぱり僕が本当に欲しかったのは―。 『私リウさんに・・・チョコレート・・・…ううんなんでも無い』 バレンタインの一週間ほど前。 ビッキーは僕にそう言った。 だから少しは期待していたんだけれどもね? 彼女から想いを届けてもらえる事を でも・・・まあ。 これはこれでいいことはあるかな? ビッキーを特別大切に思っている僕がいて。 同時に僕は、他の人たちの気持ちもないがしろにできないリーダーで。 ビッキーを「その他大勢の中の一人」としても 「たった一人の特別な人」としても扱う事ができないのだから いっそ・・・貰えなくて良かったのかもしれない。 もしも受け取っていたのなら どちらかの感情を棄てなければいけなかったのだから。 君ならどう思う? ビッキー。 ―シュン!― 「ああ、ビッキー」 なんて絶妙のタイミング。 気持ちを汲んだかのように 「今丁度君の事を考えていたんだよ」 「えっっ?!」 そう そうやっていろいろな表情を見せてくれるから ・・・楽しくて 嬉しくて。 「ビッキーのチョコが欲しかったな」 「わ、わたし・・・?」 「そう」 そのことはもうふっきってはいたけれど 本当の本心は欲してる。 我ながら執念深いかもね? けれど仕方が無い 欲しいと想ってしまうから 手に容れたいと、感じるから。 「リウさん!コレ・・・」 そう言って震える彼女が差し出したものは。 「…空き箱…?」 中身はなく、一度開けた様子もある。 ・・・どういうことだろう? 「うん。あのね、中身は来年渡すから。気持ちだけ受け取ってもらえるかな?」 絶対に跳んで行くから。 ・・・まいったね。 まさかそう来るなんて 嬉しいじゃないか? 自然に柔らかな微笑みが浮かぶ。 「わかった。絶対に跳んで来てくれるね?」 「うん!もちろんよ」 次の瞬間。 「あのね…私もチョコレート、私のだけ受け取ってもらえたらいいなって思ってたの」 「…へえ?」 思わず耳を疑った。 今のが聞き間違いでないのなら 「どうして?ビッキー」 もう、遠慮はしない。 僕は図々しい男だからね? その言葉を都合よく解釈しておくよ。 「なんなら僕がそう思った理由を教えてあげようか?」 少女は床にしゃがみ込んでいた。 真紅に染まった頬。 小刻みに震えるその体。 だけど必死に顔を上げようとする・・・愛しいさま。 僕はね 君が ―欲しいんだよ―。 しかし想いは呟きにすらならず。 ノックの音と 「お〜い。リーダー!いるか?」 どこぞの副リーダーの声に遮られた。 ぷっつ。 「また今度ね」 にっこりと、どうにか浮かべた笑顔。 それを見るなり彼女は微かに頷き、テレポートした。 「お、いたいた。なんだ返事ぐらいしろって…?!り、リウ?」 返事ぐらいしろ・・・? 「なんだい?」 お望み通り返事を返す。 ソウルイーターをかまえつつ。 「その…紋章をどうする気だ?」 察しがいいね。そのカンをどうしてさっき使ってくれなかったんだい? 「想像に任せるよ」 手袋を外しにかかり―。 「頼む!俺に向けるな!!」 今更遅い! 「問答無用!!」 文句なんか聞きたくないし? ごおおおおおおおおお… いつもより5割増しでお届け。 「まったく。ひとがいい雰囲気に持っていった所を邪魔するからだよ」 馬に蹴られたくなかったら、退いているべきだったのにね。 +++ ああ・・・。なんて苦い思い出だろう? そんなことは忘れるに限るね。 さて今日はバレンタイン。 ちょうどあれから一年が過ぎた日。 『この戦争が終って、リウさんがリーダーじゃなくなったら。 呼んでくれたら、どこにいても跳んでいくから…』 深呼吸を一つする。 大丈夫 ビッキーは来る。 約束したのだから どこへいても 必ず跳んできてくれる、と。 風に想いを乗せ、呼ぶ 今度こそは 欲しいものが手に入るはずだから―。 「ビッキー」 |
■ネコヤさんのヒトコト■ 滑り込み〜。 坊ビキバレンタイン・坊ばーじょんです。 ますますリウが増長してます。 あまったるいので食中りに注意して下さい。 逃走。 ■石猫のタワゴト■ 内面はフテブテしくもシタタカなリウさん素敵〜v やっぱりリーダーはこーでなくっちゃね。 こーゆーヒトが最終的にシアワセを掴むのです! ……副リーダー?誰ソレ? と、一瞬思ってしまうほどこの当時のフリッ苦は青かったですねぇ(笑)。もしや副リーダーも「青雷」同様、自称だったりして(爆笑)。 |