2001/12/26
■ Holy day〜坊ビキ編〜 ■
「ああっ!!!?」 同盟軍盟主の部屋に唐突に現れた少女は、視界に懐かしい色を映したその一瞬後、素っ頓狂な声を上げた。な、何?と驚く盟主の前に居たもう一人の少年は、さして驚く様子も無く、ゆっくりと振り向いて微笑んだ。 「やあ、こんにちはビッキー。――可愛いね、その格好」 そう、白い大きな袋を握り締めた今日の彼女のそれは、何時もの城を基調とした清楚な道服ではなくて。まるで彼らのような、赤を基調とした見慣れない服。帽子の先や襟元・袖口、所々についている白いふわふわの毛がその色に映えて、可愛らしい。 「えっ、そう?えへへ、嬉しいなVV」 「うん、可愛い可愛い。…で、それは何の格好?」 「え〜とね……産婆さん、だっけ?カナイさん」 「………じゃなくて、サンタさんだよ、ビッキー…」 自信なげに送られた視線に、頭痛を覚えながら盟主が返す。ふん?と視線を移した英雄に、 「つまりですね〜…う〜んと、凄く噛み砕いて言うと、この辺では今日、クリスマスって言うんですけどね、その日に皆にプレゼントを配ってくれる人なんですよ」 「でねでね、何人かで手分けして色んな人にプレゼント――ああっ!そうだどうしよう!!」 「落ち着いてビッキー。何か困った事があるの?僕で力になれる?」 あわわわわ、とまたもやパニックに陥るビッキーの頭を、落ち着かせるように、軽くぽんぽんと叩く。ビッキーはうう〜〜と泣きそうな顔でマクドールを見上げて、 「あ、あのね…プレゼントお城の皆の分しかないから……カナイさんのはあるんだけど、マクドールさんの分がね……ないの…」 そのセリフに、盟主殿も「あ」と口元を押さえる。 「じゃ、じゃあ、今から買って……」 「いいよ別に。そんな気を使わなくたって。元々僕この城の人間じゃないし」 「でも、マクドールさんいっぱい遊びに来てくれるし…折角今日も来てくれたのに」 3年前も良くしてくれて、今も頻繁にここを訪れては昔と変わらず優しくしてくれるのに。 そんな人が、今日という日に折角来てくれたのに、何もあげる物が無いなんて。 「あ、じゃあ僕の分のプレゼントをマクドールさんに……」 「そう言うのは遠慮しとくよ。他人宛てのプレゼント貰っても、たらい回しみたいで嬉しくないし」 「………ですよね…でも、改めて、ってのも……」 「いらない――って言いたいんだけど、そうもいかないみたいだね」 がっかりしているビッキーを見てそう言い、少々考える。それから。 「――じゃ、こうしよう」 ビッキーが手にしていた袋を取り、ぽいと盟主に放り投げたマクドールは、ひょいとビッキーを抱き上げた。 「プレゼントが無いなら、プレゼントをくれるサンタを貰うよ。そうすれば、いつでもプレゼントが貰えるだろう?」 「あっ、そうか!マクドールさんて頭いい〜!!」 分かってるようで状況を良く分かっていないビッキーが、ぽんと手を打つ。 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!プレゼント持ってないサンタさん連れてって、何貰うって言うんですか!!!?」 一日共に過ごしたなら、例えそうでなくとも恋人同士と世間に思われるような今日この日。 よりにもよってそんな日に、目の前でビッキーを連れて行かれた(しかもマクドールに)と知られようものなら、後でルックに、確実に殺される。 全身蒼白になって半ば絶叫するように引き止める盟主殿に、マクドールはにやりと腹黒い笑みを見せた。 「そりゃもう色々とね」 「色々って何ですかぁぁ!!!!」 「色々は色々だよ。――けど、ま、敢えて言うなら……喜怒哀楽?」 先刻とは違う苦笑雑じりの寂しげな笑みに、え?と盟主が一瞬怯む。瞬間。 「じゃ、カナイ後はよろしく。ビッキー!適当テレポート!!」 「は〜い♪」 「あぁ!?」 姿が消えるまでの、ほんの一瞬視界に映ったモノ。そう、軽く上げられた英雄殿の手に握られていたのは――紛れもなく『瞬きの手鏡』。 (ま…またやられた……) 折角のナナミとのクリスマスデートが…いや、その前にルックの怒りが。 この後を思ってがくりと膝をつく、哀れな盟主ここに一人……(笑) × × × × × そしてその夜。 二人が穏やかに過ごしたトラン地方の、同じく穏やかな天候とはうって変わって。何故かデュナン地方(特にデュナン湖周辺)は、激しい暴風雨に見舞われたという(笑) |
■石猫のタワゴト■ 新同盟軍本拠地の産婆…でなくサンタさんはビッキーですかー! その艶姿を想像しただけでもー、たまりませんねv そしてそして。さすがはマクドールさんです! ちゃっかり本拠地アイドル強奪後、鮮やかに逃亡する手並みはスバラシイの一言に尽きますねv ルックにはご愁傷様なカンジですが(笑)。 それとも……もっと気の毒なのはナナミとのクリスマスデートを台無しにされた2主君でしょうかね。 |