■■ 001: 日だまり ■■






お休みを貰った。
今日はぽかぽか良いお天気。
こんな日はお昼寝をしたら気持ちがいいね。
外で読書、なんかもいいかも。
風はそよそよ、ほどよくささやき。
乾燥し過ぎず、じめじめし過ぎず。
にっこり笑顔になっていく。

読み掛けの本を持って、お城の庭に向かった。
ハイ・ヨーさんお手製のサンドイッチも持って。
今日は思い切り寛ごうと決める。

庭の芝生には先客がいた。
本を顔に載せ、寝そべっている人。
見覚えのある、赤い服。
顔は見えないけれど、それだけでそのひとが誰か判った。

―リウ・マクドールさん。

隣に腰を下ろす。
眠りを妨げないように、そっと。

ふわりふわりと蝶々が舞った。
それを追いかける子供たち。
犬をおいかけている子もいる。(子供の中にゲンゲンさん、ガボチャちゃんもいた)
空を飛び逝くむささびちゃんたち。
抱っこしたら、お日様の匂いがしそうだね。
キュオオオオオオオン、とフェザーちゃんの声がする。

どれくらい時間が経ったのか。
半分まで本を読み終えたとき、彼が動く気配がした。
「…ん…」
顔の上の本を取り上げ、むくりとおきあがるリウさん。
「あれ・・ビッキー。おはよう」
「おはよう、リウさん」
読みかけの本は、とりあえず栞を挟んで閉じた。

「今日は暖かいね。本を読んでいたんだけれど…つい、眠っちゃったよ」
「ふふ。お昼寝日和だよね。」
戦が起きていると、忘れてしまいそうなほど。
きっと洗濯場ではヨシノさんやヒルダさんが、笑顔で洗い物をしているだろう。

「ねぇリウさん。こんなに良いお天気なんだもの。アビズボアちゃんたちも、今頃日光浴しているかな?」
タコさんたちは、冒険の時以外いつも水の中にいる。
それはそれで気持ち良いと思うけれど、たまには日光浴もいいと思うの。

そうしたら何故かリウさんは、目を瞬かせ・・・。
くすくすと、笑った後「そうだね」と言った。
ぽつりと『焼きダコ』とか呟いたみたいだったけれど…気のせいかな…??

「その本は…?」
ふと、私が持ってきた本に注目するリウさん。
「あ、お外で読もうと思って。持ってきたの。…まだ読みかけなんだけれど」
「…ふぅん。」

と、リウさんは、再び寝転がった。
私の膝の上に頭を乗せて。

かあああっ、と体中に熱を感じる。
「リリリリ、リウさん??」
「ヒザマクラ膝枕」

こっちの動転する様子を楽しんでいる。
いつも、いつものことだけれど…!
は…はずかしいよぉ…。

「読み聞かせてよ、その本。途中からでもいいからさ。」
どうやら彼はもう一眠りするつもりで。
眠るまで物語を聞かせて、とのこと。

「もぅ…」
不承不承、語り始める。
いちおう人に聞かせるものだからと、切りの良い所から読み始めて。
彼の虎目色の瞳が閉ざされた頃…。
そのまま語ろうとしていた唇が重たくなって。
瞬きをする回数が多くなり、やがて。
瞼も開けれなくなった。



目が覚めたのはリウさんの視線を感じて。
「オハヨウ」という楽しそうな声は、ずーーーーーーーーっっと私の寝顔をみていたという現われ…の気がした。
お日様はもう沈みかけ。
サンドイッチは食べそびれて、そろそろ夕ご飯の時間。

「帰ろうか」
差し伸べられた手に。
「うん」
と手を重ね。
二人で一緒にお城へ戻った。

ずっとお外にいたからか。
彼からも、私からも、お日様の匂いが漂っていた。












Data
No. 001 : 日だまり
Update 2003/10/27
Author ネコヤ ナギ


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